「行きなさい、フランシスコ。そして私の家を修復しなさい。見えているように、それは崩壊の中にあります。」
また、天使の聖マリア教会のミサで朗読された福音を通して、神からの啓示を受けました。「帯の中に金貨も銀貨も銅貨も入れて行ってはならない。旅行袋を持つな。重ね着もせず、はきものもはかず、杖も持ってはならない。」(マタイ10・9)
神への絶対の信頼をもってすべてを手放し、壊れかけたサン・ダミアノ教会、そして天使の聖マリア(ポルチウンクラ)教会を修復するフランシスコに、アシジの人々も目を留めるようになり、フランシスコに従いたいという者も現れました。彼は、そのように願う者を兄弟として迎えました。
フランシスコと最初の兄弟たちは、天使の聖マリア教会の近くに小屋を作り、街へ出ては人々に福音を説き、病人を世話しました。やがて、フランシスコは11人の兄弟たちとローマへ出かけ、教皇様より生活規範への許可をいただきました。これが小さき兄弟会の始まりとなりました。フランシスコに従って福音の道を歩みたいという願う人々が、さらに集まってきました。
8月2日は、天使の聖マリア(ポルチウンクラ)教会の祝日です。ポルチウンクラには小さな分け前という意味があります。フランシスコは兄弟的生活を始めたその場所で、最期を迎えることを望みました。集まった兄弟たち一人ひとりを祝福し、その場に居合わせなかった兄弟、また将来この会に入ってくる兄弟たちをも祝福しました。
2013年にアシジを巡礼する機会をいただいた時、アシジに到着して最初に訪れたのが、天使の聖マリア(ポルチウンクラ)教会でした。二十数人も入ればいっぱいになる小さな聖堂を覆うように、大聖堂が建っています。壮麗な大聖堂のなかにあって、この小さな聖堂は、フランシスコが帰天した場所として特別な雰囲気を放っていました。幸いにも、滞在中、この聖堂で二度ミサにあずかることができました。
現在の教皇様が、自らの名前を聖フランシスコから選ばれたように、神の前に小さい者として互いに仕え、謙虚に生きることをフランシスコは私たちに示していると思います。
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