聖年とは、カトリック教会で、ある一定の期間をおいてローマを訪れ、決められた条件に従って祈る信徒たちに、教皇が聖年の大赦と呼ばれる特別免償(免償:罪科としてはすでに赦免された罪に対する有限の罰の神の前におけるゆるしのこと)を与える一年です。
聖年は英語で Jubileeと呼ばれますが、その由来は旧約聖書の「ヨベル(Jobel)の年」(レビ記 25.1~55 参照)に由来します。この年は、土地は原則として所有者に返され、土地の安息、負債の免除、奴隷の解放など、50年ごとにめぐってくる大恩赦、ヘブライ人の聖年の考えがあります。
教会の歴史に残る第1回目の聖年は、教皇ボニファティウス8世の命によって1300年に行われ、聖地への巡礼と100年ごとの聖なる年という考えが加わり、歴代の教皇たちが聖年の規定を整えていき、1500年に教皇アレクサンドロ6世によってローマの四つの大聖堂の扉を開く式が始められました。
現在の規定では、教皇は聖ペトロ大聖堂(ヴァチカン)の聖なる門を開き、ラテラン大聖堂(サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ)、聖マリア大聖堂(サンタ・マリア・マッジョーレ)、城壁外の聖パウロ大聖堂(サン・パウロ・フォーリ・レ・ムーラ)では、教皇が指名した代理によって同様の儀式が行われます。
基本的には25年ごとの通常聖年ですが、20世紀以降の聖年は、他の意向で特別聖年(1926年アッシジの聖フランシスコ帰天700年記念、2015年いつくしみの特別聖年他)として、また、紀元2000年は100年ごとに実施される「大聖年」として祝われました。2025年は通常聖年ですが、2033年には、「キリストによる贖いの2000年記念」の特別聖年があるだろう、という噂もあります。
2024年度の降誕祭の夜半のミサの始めに、教皇フランシスコは同大聖堂の「聖なる扉」を開かれ、これにより「希望の巡礼者」をテーマとする2025年の聖年が開幕、2026年1月6日にこの扉が閉じられ、閉幕します。
教皇フランシスコは「巡礼が、聖年の全ての行事の基本要素であることは偶然ではありません」(教皇フランシスコ『希望は欺かない 2025年の通常聖年公布の大勅書』カトリック中央協議会:2024年)と記していることから、聖年のキーワードは「免償」と「巡礼」といえます。
免償は、罪のために負わされる有限の罰からの解放が部分的であるか全体的であるかにより、部分免償と全免償に分けられます(「カトリック教会のカテキズム1471」より)が、ヨベル(Jobel)の年を起源とする聖年の最大の特徴は、全ての償いを赦免する全免償です。
また、ローマを訪れることは簡単ではないため、各教区の司教座聖堂や、教区司教によって指定された教会・聖堂(2024年1月29日に開幕、2025年12月28日に閉幕するとされています)を巡礼することで、免償を得ることができます。

札幌教区(北海道内)の巡礼指定教会は、
① 北一条教会(カテドラル:札幌)
② 旭川五条教会
③ 釧路教会
④ 帯広教会
⑤ 北見教会
⑥ 宮前町(函館)教会
⑦ 苫小牧教会
以上の7教会です。但し、各教会にしかるべき扉が常設されているわけではありません。
皆様もこの機会に、教会を訪れてみてはいかがでしょうか。
聖年の祈り
天の父よ、
あなたは、わたしたちの兄弟、御子イエスにおいて信仰を与え、
聖霊によってわたしたちの心に愛の炎を燃え上がらせてくださいました。
この信仰と愛によって、
神の国の訪れを待ち望む、祝福に満ちた希望が、
わたしたちのうちに呼び覚まされますように。
あなたの恵みによって、わたしたちが、
福音の種をたゆまず育てる者へと変えられますように。
この種によって、新しい天と新しい地への確かな期待をもって、
人類とすべてのものが豊かに成長していきますように。
そのとき、悪の力は打ち払われ、
あなたの栄光が永遠に光り輝きます。
聖年の恵みによって、
希望の巡礼者であるわたしたちのうちに、
天の宝へのあこがれが呼び覚まされ、
あがない主の喜びと平和が全世界に行き渡りますように。
永遠にほめたたえられる神であるあなたに、
栄光と賛美が世々とこしえにありますように。
アーメン。
(Wikipedia、tokidoki、カトリック中央協議会HP、カトリック新聞2024.12.22, 第4749号 参照)
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